月は綺麗ですか?

 

 

 

 

 

 

 

“これはひとつのイベントではないです。本気で、理想を、追いかけましょう。その覚悟がある人だけを集めたつもりです。”

 

 

 

 

 

コピーライティング部1日目。

部長からの言葉だった。

 

 

 

 

 

 

 

ここにいる多くの人が、

(ここでは本気を出さないことが異常になるのか、)

と覚悟した瞬間だっただろう。みんなの背筋ものピンと伸び、周りの空気も糊付けしたてのシャツくらいパリッとした。

 

 

 

 

 

 

すごくわくわくした。

私の好きな「言葉」に焦点がおかれた部活。

それに集まるみんなとは言葉の面白さを分かり合えるだろう、と期待した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

11月18日。

忙しい班のみんなとMTGできるのは深夜からが多い。

今日も23:30から電話MTGだ。

眠い目をこすって待つ。

部活外でMTGが増えていくのと同じスピードで、ストーブや毛布など、待つための武器も増えていった。

 

 


不覚にも、10分ほど寝てしまった。

私だけではなく他にも寝ていた人がいたらしい。

まだmtgは始まっていなかった。

 

 

 

待ってくれていたメンバーの1人が

「みんな疲れてるみたいやな!実はわたしも眠たいし、明日に回す??」

とあたたかい毛布をかけなおしてくれた。

 

 

 

 


心の中で

(その方がありがたいな)

と思い浮かぶ。甘えそうになった。

 

 

 

 

 


しかし、間髪入れずに

「めっちゃ雰囲気ゆるくない?今度の部活に向けて完璧に準備しないとこのままじゃやばいやん。本気でやろ。」

と毛布が剥がれた。

 

 

 

 

 

 

 

ひさしぶりに背筋が伸びた。

 

 

 

 

 

 

 


回を重ね、確実に優先順位が下がっていた。

いつのまにか本気でやれていなかった。

 

 

 


いつもの私だったら

「なに熱くなってるんだろ、本気なんてばかみたい」

と冷ややかな目を送っていただろう。

 

 

 

 

 


しかし、1日目の私は本気を誓い、

それにワクワクし、

自らこの部活で頑張ることを決めた私の口からそんな言葉は出なかった。

 

 

 

 


そしてなにより、

指摘してくれた人は、人一倍本気で、全力で向き合っていたからこそ、こちらからはぐうの音も出ない。

 

 

 

 

 

 

ここでは本気でいることが前提条件。

手を抜くなんてもってのほか。

そして手を抜きはじめたらきちんと指摘してくれる仲間がいる。大丈夫、踏ん張れる。

もう一度心をいれなおして頑張ろうと思った夜だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


次の部活では、始まるや否や

「この間はごめん!完璧に俺が悪い」

と寝てしまったメンバーの1人が素直に直接謝っていた。

「よおし!がんばろ!」

と仕切り直して、部活はスムーズに進んだ。

 

 

 

 

 


 

なんて爽やかな会話なんだ。

私はその爽やかさに青春を重ねた。

こんな場ははじめてだった。

 

 

 

 

 

 

 

中高六年間、吹奏楽部生活を青春だと思って突っ走っていたが、

ここで過ごした3ヶ月の方がよっぽど青春だった。

 

 

 

 

 

 

 


進捗に差が出始めると焦る周りの班。

本気で向き合ったからこそ本気で悔しいという感情を吐露するメンバー。

どこの班よりも思考を掘り下げ、練って練って話し込んだ深夜のmtg

講師の娘さんの誕生祝いにプレゼントを考え、サプライズするあたたかさ。

勝ちたいな〜とぽろっとこぼれる本気。

忙しい生活の合間を縫って部活に臨んでいるみんな。

 

部活では得られるものはすべて得るぞという覚悟と

半端じゃない集中力を感じた。

 

 

 

 

 


集中しすぎて他班の声が入ってこない時もあれば、他班の熱い議論に感化されたり焦ったりもした。

 

 

 

 

 

 

 

毎部活、あっという間だった。

自然とほぼ全員集まっていた自主練も一瞬で終わる。

 

 


他班の進捗をのぞく時間。

部活外では会わないからこそ、相手のことを教えてもらう時間。

そして、内容を深める時間。


帰りの電車では初対面とは思えないほど話し込んだ時もあった。

 

 

 

結果はどうあれ、この3ヶ月全力で言葉に向き合ったことを誇りに思う。

 

 

 

 

 

 


毎週火曜日を楽しみにこの3ヶ月生きていた。

過言じゃない。

 

 

 

 

 

たのしかった。

 

 

 

 

 


やはり私の目論見は当たっていた。

部員のSNSを覗くとだいたいnoteがあり、

その綴られる言葉に涙した深夜もあった。

何気なく呟く言葉にさえも、深さがあった。

会話だけでなく文字に落としているのを覗くだけでこんなに揺れるものか。感動した。

 


言葉が好きな人との 会話を、表現を、言葉を見れてよかったなあと思った。

 

 

 

 

 

 

 

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

月は綺麗でした。